【タイトル】グリーンブック 米2018
【監督】ピーター・ファレリー
【出演】ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ
【一言あらすじ】タイトル回収はそんなにしないのか...。
どうも、ぎぶそんです。
今回は『グリーンブック』を観たので、その感想をば。
2019年の第91回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚本賞を獲得しております。
評価
★★★☆☆(★3.0):面白かったけど、もう一捻りくらい欲しかった。
すごく面白い映画でした。黒人差別を扱った作品なので、「ドラマ性が強いのかな」って身構えながら観てたけど、案外コメディしてて楽しく観れるエンタメ寄りの映画でした。主人公自身、イタリア系の人間だからか黒人差別思想を“強く”持っているという訳ではなく、そのおかげでドラマ性を抑えつつ、キャラ設定と演者の雰囲気で楽しませる映画になっているのが印象的。
前情報なしで鑑賞したんだけど、この映画のベースは実話なのね。個人的には実話を基にした映画ってのは面白さに欠けるって思ってるからあんまり好きではないけど、これは脚本とか主演の力で面白く仕上がってる。
とはいえ、やっぱり実話ベースのせいか分からないけど、大きなパンチがあるわけでもなくもなく★3.0に落ち着いた。
あらすじ
1962年アメリカ
ナイトクラブで用心棒として働いていたトニーは店の改装工事のため解雇されてしまう。次の仕事を探しているとアフリカ系アメリカ人のジャズピアニストであるドン・シャーリーを紹介される。黒人に対する差別意識があるトニーであったが、給料が良かったので仕事を引き受け、アメリカ南部をまわる公演ツアーに出発する。
トニー:黒人嫌悪が少しある白人。口が悪く粗暴であるが、柔軟な思考を持っており、雇い主のドンの言うことを受け入れる余裕はある。
ドン・シャーリー:有名な黒人のジャズピアニスト。上品な家庭で育ったのか、丁寧な物腰で、トニーの荒い振る舞いに驚くことが多々ある。
登場人物は主に2人だけで、基本的にはロードムービー的な感じで物語は進んでいく。公演先の街で、黒人であるが故の問題を目の当たりにしていくことで、トニーの黒人に対する意識が変わっていく。ドンもトニーと行動を共にすることで何かしらの心境変化が生まれる。
ポップさが良いのか悪いのか
この作品は黒人問題を扱ってはいるものの、コメディ寄りのシナリオなのであっさりした気持ちで観ることができる。でも、そのせいで重厚さのようなものを感じることはできないし、エンタメ全開って訳でもないから、感想としてはまずまず。
性格、境遇、暮らしぶりが大きく違うトニーとドンの珍道中では面白く感じさせるポイントとしては、お互いがお互いを受け入れる心の余裕がしっかり表現されているところ。
トニーは「良い給料をくれる」って部分で心に余裕を確保することができていて、ドンに注意されても、嫌な顔をしつつも聞き入れることができていて
ドンの方は黒人差別を長く受けてきて、受け入れること、我慢することを大切にしてきた。とは言え、黒人差別の現状を看過している訳ではなく、黒人差別意識が強く残る南部をツアーで回ることで、黒人と白人の橋渡しをしようとしている行動力も持っている。
ケンタッキー州を訪れた際にトニーがケンタッキー・フライドチキンを買ってくるシーンが個人的に好き。
最初、手づかみに抵抗があったドンであったが、トニーに言われるがまま食べてみるとあまりの美味しさに驚く。チキンを食べたドンに満足したトニーは「骨はこうするんだ」と言って、車内から窓の外に投げ捨てて、ドンも見習って骨を投げ捨てる。
それに気を良くしたトニーはテンションが上がって飲み終わったドリンクのカップも窓から捨てるが、ドンはそれにドン引き(ダジャレじゃないよ)し、トニーに車をバックさせてカップを取りに戻らせる。
というワンシーンなんだけど、ここはお互いの心の余裕が垣間見える気がして、映画としては1つのポイントかなって思う。
まとめ
トニーの中にあった黒人差別意識はドンと行動を共にしていく中で、薄れていく。
また、ドンの心のうちに引っかかっていた家族や他者と繋がりに対するモヤモヤもトニーと過ごすことで少しだけ解消される。
小さいことではあるかもしれないが、大切な人間の変化を描写した映画ではある。
随所に笑えるところもあり、ドンが黒人差別を受けるシーンでは少しはグッときます。
鑑賞:2020.04.17