ある少年の告白 ~キリスト教だって完璧じゃないのよ~【感想】
【タイトル】ある少年の告白 2018米/2019
【監督】ライアン・ジョンソン
【出演】ルーカス・ヘッジズ、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ
【一言あらすじ】同性愛者を「矯正」しようとする話
最近、映画欲が沸いてきたのが嬉しい。
ここ半年ほどは映画を観たいと思わなかったんだよね。
別に映画が嫌いになった訳でもないし、かと言って義務感で映画を観るなんてのは勿体ない。
映画を観るという行為が作業になってしまうのは悲しいことだ。
今の自分の生活リズムに映画を観るという行為を差し込むのはなかなか難しいとは考えているんだけど、それ以上に「観たい」という気持ちが少しだけ湧いてきている気がする。
無理に観ようとはせず、心を揺さぶるような映画に出会えたら、ちょっぴり幸せ。
そんじゃ、「ある少年の告白」という映画を観たので、その感想を書いていきます。
どうぞ!
評価
★★☆☆☆(★2.0):社会派ドラマなので「面白い」にはならなかった。
まぁ、そういうことですよ。どういうことですか?
個人的にはキャスト3人が好みの俳優だったので、公開当時から鑑賞したいと思っていて、ようやく観ることができた。って感じです。
ジャンルは実話ベースの社会派ドラマ
フィクションではないので、エンタメ的な盛り上がりも少なく
狭い世界観で物語が進んでいきます。
僕自身、キリスト教徒文化に明るくないので、鑑賞中に「あれ?時代設定どうなってんの?」って思いつつ、作中では携帯電話が出てきているのを考えると、そんなに古い設定じゃないんだよね。それなのに、LGBTQに対して、こんな思考・文化があるのか...ってびっくりした。
いや、キリスト教が同性愛を認めていないのはなんとなく知っていたんだけど、映画の中での扱いがイメージより酷かった。
これはものすごく勉強になった。
あらすじ
キリスト信仰の強い両親と暮らすジャレッド(ルーカス・ヘッジズ)は同性愛者だということを両親に伝えたが、息子の告白を受け止めることができなかった彼らは同性愛を「治療」するために矯正施設に息子を入れた。そこで行われている矯正のためのプログラムとは・・・。
ジャレッドは大学に通う普通の少年です。しかし、同性愛者というマイノリティを持っています。ここ数年はLGBTQに対して、少しずつオープンになってきているとは思いますが、まだまだ理解が深まっているとは言い難いですよね。
この映画の主人公は同性愛者であることを「治療」するために入所した施設の内部で行われているプログラムについて暴露する回顧録を原作としています。
思いついたまま書きなぐります
主人公が10代ということもあり、また両親がキリスト教信仰があり、さらには父親が牧師ということもあり、ジャレッドは同性愛者に関して「矯正」できるものとして考えている部分がありました。
しかし、施設でプログラムに参加していく中で正しいことなのか、疑問を抱きます。
その流れの中での、少年の戸惑いがリアルに表現されています。
時間の経過とともに、自分という存在に向き合うことができたジャレッドは自分の生きていく道を発見することができたのかもしれません。
また、ジャレッド以外のプログラム参加者の振る舞いも自然な感じで、すごく好印象でした。
ニコール・キッドマン演じる母親は牧師である夫と最愛の息子の間における葛藤を演じることに成功しています。
好きな俳優なので、贔屓目といえばそれまでだけど、さすがです。
キリスト教を信仰していますが、息子ジャレッドのために柔軟に対応できているのは観客として救いがあって良かった。
ラッセル・クロウ演じる父親は牧師という立場を考えるあまり、息子との対話が少なくなってしまいます。当然と言えば当然ですし、原作準拠で考えるとリアルな反応だし、それが映画の中ではジャレッドとも、母親とも立場の違う観点から映画を支えることができていました。
2021.03