ふたつの名前を持つ少年 ~歴史に名を残す映画!...には少しだけ何かが足りない。そんな「戦争×ユダヤ人」映画~
【タイトル】ふたつの名前を持つ少年
【監督】ペペ・ダンカート
【出演】アンジェイ・トカチ/カミル・トカチ、エリザベス・デューダ
【一言あらすじ】ユダヤ人少年が必死に生き残ろうとする話。
一言あらすじを見る限り、もしくは「ユダヤ人」の言葉を見る限り、重そうな映画かなと思いきや、そんなに重くない観やすい映画でした。ライトな仕上がりで、人がバッタバッタと死んでいくシーンなんかがないので、そういうのが苦手な人にもおすすめです。
ただ、やっぱり第二次世界大戦下のユダヤ人の扱いは酷く、それを扱っている映画なのでハートフルって訳でもないし、笑えるシーンもそんなにないです。
「笑える」とは違いますが、「ほほえましい」のはいくつかあったりします。
感想・軽いネタバレ
評価
100点満点中70点
ジャンル分けをするなら戦争・ドラマ映画になるんでしょうけど、本作にはがっつり戦争要素、つまり、戦闘シーンはありません。基本的にはユダヤ人の少年が生き残るために「ウソ」をつきながら農場から農場へ、森から森へ移動していく話です。
また、感動のドラマ展開もさほどありません。ご都合主義展開もそんなにないです。
それもそのはず、この映画は実話に基づいた作品でして、映画的な盛り上がりはない。そういうところが好印象でした。まぁ、映画としての盛り上がりに欠けるのはイマイチですが、こういった題材を扱って、ファンタジー要素なんか取り入れようものなら、それこそ映画が死んでしまうんですけどね(笑)
終戦してからのくだりが少し「?」が残るんですよね。なんで、そういう流れになったのかが分からない。それは僕が当時の知識を持っていないからだとは思うんだけども。ちょっとだけ説明が欲しかったかも。
記事タイトルの~~にも書いてますが、今、「戦争×ユダヤ人」系の映画で名作とばれる作品はいくつかありますが、その中に入れるかと言われると微妙。
主人公の少年を演じた子役の演者は双子らしいです。映画を観終わって作品のことを調べてたら、そのように書いてあってびっくりしました。双子だからって特に何もないんですが...。笑
もう少しあらすじ
本作は、1942~3年の冬から1945年の終戦までのポーランドが舞台です。
「父さんや母さんのことは忘れても、ユダヤ人であることは忘れるな」という父との約束を胸に、スルリックは生きるために厳しい冬の森を逃げ回っていたが、力尽きて倒れているところをヤンチック夫人に助けてもらう。ヤンチック夫人はスルリックにポーランド人として生きていくように助言をし、スルリックにキリスト教の振る舞いと嘘の身の上話を覚えさせる。しかし、2人は一緒にいられなくなり、スルリックはユレクと名乗り、ポーランド人として命の旅を始める。
基本的に少年が旅する話です。それは命がけの旅です。ヤンチック夫人と出会ってからはポーランド人として農場で雇われて食事と寝床を貰えたりすることもありますが、ずっとそういう訳にはいかず、ユダヤ人とバレてしまい農場を去ることもあります。森から森へ移動中にドイツ軍に追われることもあります。そういう戦争中の少年の2~3年間を追った映画です。
やさしい人もいる
みんながみんなユダヤ人を嫌っていたかというとそうでもなくて、ユダヤ人とバレてからも優しく接してくれる人もいました。それでも、ユダヤ人と分かっていながら、匿ってたりすると罪になる時代なんですけどね。
これは他の映画でも表現されていて、僕はそんなに知識があるわけではないですが「シンドラーのリスト」もユダヤ人を助ける方向で動いた人物を主人公にした映画ですよね。
こういう映画をきっかけに当時の環境がどうだったのか、戦争ってどういうものなのか、など考えることができるのは良いと思います。
なんか真面目な感じになっちゃいました。すみません。
よかったところ・わるかったところ
良かったのはご都合主義がないところですね。
「なんだかんだ上手く生き残ってるじゃないか」とか文句つけられたら、なんも言えないんですが。
他はなんだろう。ここが良かったって具体的には思いつかないなぁ。
映画の仕上がりとしてマイルドなのは観やすいですね。
イマイチだったのは映画的盛り上がりに欠けるところですかね。ご都合主義がないところが良いって書いておきながら、言うのもなんですが、少し映画的に長いです。なので、少しも盛り下がる。
また、終戦してからユダヤ人の孤児をどうのこうのする団体かなんか知らんが役人みたいなのがユレクもとい、スルリックの元にやってきます。その経緯もちょいと急でびっくり。
この映画の記事書くのに時間がかかりました。なんでだろうなぁ。疲れた。
鑑賞:2016.05.31