信さん・炭坑町のセレナーデ ~昭和と少年と淡い恋。炭坑の町。~
【タイトル】信さん 炭坑町セレナーデ 日2010
【監督】平山秀幸
【一言あらすじ】都会からやってきた家族と炭坑町の少年の青春物語。
ひと月で2本も邦画を観るのって久々な気がしますね。しかも、そんなに有名どころな映画ではない印象。と、言うのも全国31スクリーンのみの小規模上映なんですよ。
元々、ストックにあった映画ではないんですが、たまたま観る機会があったのと、出演者に惹かれて観ることにしました。だって、池松壮亮と石田卓也ですよ。良いじゃん!好きなんですよ(笑)しかも、石田卓也が20歳の年齢を越えて(作中の設定で)小雪に恋をするって期待しますよね。
いやー、昭和な空気がする映画です。舞台は昭和38年の福岡にある炭坑町です。昭和を生きたわけではないですが、好きな空気感が満載です。
評価
100点満点中70点
全体的に昭和な空気があります。炭坑の町は汚いです。子供が着てる服もボロボロ。生活も豊かではありません。なのに、綺麗なんです。素晴らしいですよね。この空気感。小雪が出ていて、昭和な映画と言えば、三丁目の夕日が思い浮かびますが、あの作品とは違いCGは使ってないようです。そこが良い具合に働いているんでしょうね。
もちろん三丁目の夕日も昭和感があります。しかし、「炭坑の町」という少し異質な空間が綺麗に汚く映されています。
また、演者も合っています。少年期の守を演じるのは中村大地。彼は東京から来た設定なんですが、東京感があり、福岡に染まっていくのが上手。
少年期の信さん役は小林廉です。昭和感ありますね。はだしのゲンも彼でしたね。
もう少しあらすじ
小雪演じる美智代と息子の守は東京から故郷の福岡の炭坑の町に帰ってきた。そんなある日、虐められていた守を信さんこと信一が助ける。このことをきかっけに3人は親しい仲になり、本当の両親がいない信さんは美智代の優しさ、ぬくもりに特別な感情を抱いていき、美智代もそれに気づいていく。
これだけ書くと、美智代と信さんのラブロマンスがあるのかと思うかもしれませんが、そこまではありません。なんというか淡いです。あくまで「青春」なんだと思います。それが美しいです。
信さんは叔父夫婦に預けられている子供です。本当の両親はいません。そんな彼は炭坑の町ではやんちゃ少年で、周りからは厄介者として扱われているところに美智代の優しさが響きます。やがて月日は流れて、守と信さんは青年になります。
信さんの漢気がカッコいい
美智代に恋心を抱いた信さんはカッコいいです。子供ながらに漢気があってカッコいいです。学校で育ててるヒマワリを引っこ抜いて、美智代にプレゼントしたり、干し柿を盗んできて美智代にあげたりします。でも、子供っぽい(?)ところもあり、美智代の似顔絵を描いたり、浴衣の着付けの際に胸元も見たり、うなじを見たり。
また、血の繋がっていない妹のために働いて高校へ進学させます。
そして、石田卓也の風貌が合うんですよね~
よかったところ
なんというか、恋が淡すぎます!笑
キスもしませんし、抱き合うのがMAXです。それなのに、なんかどきどきしちゃいます。
東京に行くことになった信さんは美智代からスーツを貰うシーンがあります。そのシーンで2人は抱き合います。でも、信さんの口から「好き」だの「愛している」だのの台詞はありません。それなのに、2人の心は通っちゃうんです。
守も青年になりますが、信さんとは違って、まだ子供っぽいです。その比較も良いですね。
わるかったところ
もう少し、2人のいちゃいちゃ感を観たかったってのはあります。
面白い映画ではあるけど、物足りない感もありました。
池松壮亮は「半分の月がのぼる空」「大人ドロップ」「海を感じるとき」「愛の渦」など
石田卓也は「グミ・チョコレート・パイン」「鴨川ホルモー」「時をかける少女(声)」など
一気に2人を楽しみたいなら「夜のピクニック」をどうぞ。
池松壮亮はそんなに出ませんけど(笑)
鑑賞:2016.05.20