花束みたいな恋をした ~大人になったからこそ、こういう恋愛に憧れる~
【タイトル】花束みたいな恋をした
【監督】土井裕泰
【脚本】坂元裕二
【一言あらすじ】現代的なベタなラブストーリー
春ですね。
花粉症の人にとっては辛い時期ですよね。
人によっては薬を飲んでも副作用でしんどい場合もあるし
薬を飲まないと飲まないで花粉症がダイレクトにきます。
いま、この文章を書いている中で
「薬」と変換しようとしたら「クスリ」ってなりました
カタカナにするだけで、危険な匂いがするな...と一人でクスリとしました。(上手い!!!)
まぁ、僕は花粉症ではないんですけど。
評価
★★★★☆(★4.0):古臭いラブストーリーを現代人に合うように昇華している。
この映画、すごく良かった。
本筋としては、菅田将暉演じる麦と有村架純演じる絹の出会いから別れまでを描いた作品です。麦と絹の中で価値観というか、生活におけるあれこれに差異が生まれてきて、それに伴って二人の愛情にも溝ができて、最終的には別れることを選択します。
もっと言うと、麦が正社員として働きはじめ、「仕事」の優先順位が上がっていきました。
これは大人としては至極当たり前のことでもあるし、でも仕事ばかりになりすぎてもいけないようです。
ここまでだと、よくある「仕事と私、どっちが大事なのよ!?」的な話になって
古臭いテイストの映画が出来上がってしまいます。
そうはならないのが、2人の出会い方というか、繋いでいたモノにあります。
2人は趣味であったり、趣味に対する熱量であったり、共通の好きなモノやジャンル、統括してサブカルへの向き合い方が似ているのでした。
別に生活に必要ではない部分(趣味や思考)に惹かれていったんです。
それは現代的な恋愛の基盤じゃなかろうか?
SNS的な恋愛の仕方というか。昔に比べて、いまって相手の好きなモノが瞬時に分かる時代になっていると思うんですよね。
Twitterでのつぶやき、Instagramの投稿を見ると、そう思います。
映画内でSNSは出てこないけど、2人は出会って、お互いの好みをツイート(話します)あるいはDMします。
あらすじ
東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った山音麦(菅田将暉)と八谷絹 (有村架純)。好きな音楽や映画が嘘みたいに一緒で、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始める。近所にお気に入りのパン屋を見つけて、拾った猫に二人で名前をつけて、渋谷パルコが閉店しても、スマスマが最終回を迎えても、日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが…。(公式サイトより)
正直、僕はこういう恋が好きです。
まったりとした恋愛と言いますか、ガツガツしていないし
生活のグレードを急ピッチで上げていこうとしない、ゆるやかな恋愛。
それは悪い言い方をすれば「学生気分」みたいな恋愛なのかもしれない
でも、そういう恋愛で成り立つ人生も確かに存在する訳で。
大人になったからこそ、こういう恋愛に憧れたりするのかもしれない。
少しだけノスタルジック。
なんかさ、恋愛って学生の頃がピークで楽しい気がするのよ。
主演2人の恋愛も大学生の恋愛の延長みたいなところからスタートする。
というか、出会ったタイミングでは大学生なんだから当たり前なんだけど。
「ソラニン」とかも、そんな感じじゃん。
テイストは違うけど「ノルウェイの森」とか「横道世之助」とかさ
あんな雰囲気に憧れるのよ。
まとめ
最近、「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」を好きなドラマとしているんです。脚本が坂元 裕二です。そう、この映画も坂元 裕二のオリジナル脚本なんです。
この人の脚本は台詞選びだったり、心の声(語り)が心地よいんですよ。本当に。
まず、そこがオススメ。
次に別れに向かっていくストーリーなのに、悲しくなりすぎないんですよ。
むしろ、エンディングはすっきりします。
泣いたからではなく、脚本と主演2人の演技が良い。
実は、有村架純のことをあまり好きではなかったんですよ。つい最近まで。
「姉ちゃんの恋人」「コントがはじまる」あたりからかな、すごく好きになってきて。
有村架純が話す敬語というか、少し距離を置く話し方、もしくは慣れるまでの丁寧語の話し方が好きなんですよね。
そういった部分で映画に惹きこまれていった。
ラスト、清原果耶が出てくるのも嬉しい。
鑑賞:2022.03.12