エレファント・ソング ~散りばめられた伏線に気づくことができるのか。~
【タイトル】エレファント・ソング カナダ14
【監督】シャルル・ビナメ
【出演】グザビエ・ドラン、ブルース・グリーンウッド
【一言あらすじ】精神疾患患者に振り回される話。
なんとなく、タイトルからヒューマンチックな映画をイメージしていたのですが、そうでもなくて、どっちかと言うと、サスペンス・シリアス系の映画でした。というか、心理系の映画ですかね。伏線と思われるワードがいくつか出てきたりする中、話は進んでいきます。
キャッチコピーが「今も耳に残るのは、あの日のママの歌声」なんすけど、裏切られました。キャッチコピーの回収はそんなに重くないですね。あっさり回収。
タイトルの「エレファント・ソング(数え歌)」なんですが、そんなに絡んでこないです。
何もかもが観客を騙しに来るタイプの映画です。笑
ちょっとイライラしちゃうかもですね(笑)
感想・軽いネタバレ
評価
★★★☆☆(★3.0):まぁまぁ面白い
気持ち的には★2.0に近い★3.0って感じです。じゃあ、小数点以下の点数付けろよってなるかもしれませんが、そこはすみません(笑)
100分ほどの映画で、コンパクトな作りです。メインのキャストも2人です。周りにいる人間はおまけです。いてもいなくてもOK。どうかするなら周りの人間や設定は主人公マイケルの道具なんです。
オチが二段構えになっています。最初のオチは割と容易に想像できるのですが、1番の大オチは予想できなくて、正直「やられた!」って思っちゃいました。
マイケルに賢さに映画内の院長と僕らは騙されるのです。
もう少しあらすじ
マイケル(グザビエ・ドラン)は14歳のときに目の前で母親が自殺して以来、精神科病棟に入院している。その病院でマイケルの担当医ローレンスが失踪してしまった。院長(ブルース・グリーンウッド)はローレンスの手がかりを持っているマイケルに話を聞くことにするが、病院一の問題児であるマイケルは院長の話を茶化すばかりで真相を話そうとしない。
しかし、マイケルは3つの条件を院長に守らせることで、真実を話しだそうとする。
・マイケルのカルテを見ない
・褒美としてチョコレート
・この件に看護師長を関わらせないこと
これが3つの条件なんですが、マイケル、上手ですね。
なんというか精神科病棟の患者なので、当たり前と言えば当たり前ですが、言ってることがめちゃくちゃな感じです。どこからどこまでが本気で、どこからどこまでが嘘なのかが分かりません。嘘は嘘でも、意味のある嘘なのか、意味のない嘘なのか、それすらも掴めません。
これはグザビエ・ドランのルックスも手伝ってか、演技に対して良い意味でイライラします。
二段構えのオチにビックリ
この映画はオチが二段構えになっています。
1つはローレンス医師について。なぜ失踪したのか。ローレンスの事件にマイケルは絡んでいるのか、看護師長は絡んでいるのか。ローレンス医師とマイケルの関係性とは。映画内に散りばめられた伏線に僕らは振り回されます。
そして、もう1つはマイケルの中で進行していく一つの計画です。
正直、前者は予測できる範疇なんですが、後者の方は素晴らしく良くできた内容だと思います。ベタといえばベタですが、それを隠すのが上手い。
ただ、映画の作りというか、盛り上がり方、シチュエーションの少なさなどから、グザビエ・ドランを観るための映画になってる節があります。
まとめ
全体的にコンパクトで観やすいっちゃ、観やすいですが、マイケルののらりくらり感があるせいで物語が進んでいるかどうかが判断しづらいです。それに加えて、これといって画面上にアクションがある訳でもないので、退屈とも言えます。
グザビエ・ドランを好きな人にはオススメだと思います。
鑑賞:2016.07.09