アバウト・レイ 16歳の決断 ~エル・ファニングの演技力がすんばらしい。~
【タイトル】アバウト・レイ 16歳の決断 2015米
【監督】ゲイビー・デラル
【出演】エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドン
【一言あらすじ】子は親を選べない映画。
なんだか最近はLGBTに関連している映画をよく目にする。世界的にそういう流れなんだろうし、この映画に関して言えば2015年のものなので、「最近」と言うのは微妙な気もするけど、大きな雰囲気の中で「最近」ってことにしておいてください。よく目にするってのは間違いではない気がします。
なんかもう、「ふつう」とか「一般的に」とかを使いにくい風潮になりつつあるのかもね。
とか言いつつ普通に「アバウト・レイ 16歳の決断」の感想を書いていきます!
このポスター、嘘ばっかりだから気を付けて!
評価
★★☆☆☆(★2.0):エル・ファニング、カッコいいな
まずね、文句から入りますよ!
ポスターから得られる情報が嘘ばっかりですよ。
左から順番に主人公レイ(エル・ファニング)、母親マギー(ナオミ・ワッツ)、祖母ドリー(スーザン・サランドン)...なんですけど、「恋多きシングルマザー」とあるけど、別にそんなことはない。レイはスケートボードのことを考えているけど、作中で出てくるけど吹き出しに入れることのほどでもない。マギーは「元旦那からサインを貰わなきゃ」とか言ってるけど、貰おうとしていない。
映画を観た後に記事を書くためにポスター画像を検索するんだけど、ちょっとこれは....ってこのタイミングで評価が下がった。★が減った訳ではないよ。
大きな物語の筋として、トランスジェンダーの主人公が女から男になるためにホルモン療法を受けるために必要な両親のサインを貰うまでの家族間のやりとりや周りの大人たちのあれこれ、そして苦悩を描いた作品なんだけど、どうも周りの人が関心を持っていない気がするんだよね。これがアメリカでのリアルなのかもしれないけどさ。
文句のあとは褒めます。
エル・ファニングの役作り。めっちゃすごい。上手。かわいいし、カッコいい。
この表現を本人が望んでいるか分からないけど、そう思いました。
あらすじ
幼少期から体が女であることに違和感があったラモーナは男としてレイと名乗っていた。身も心も男になるためにホルモン療法を始めようとするが、未成年のため両親のサインが必要であった。しかし、マギーには父親について、レイに秘密にしていることがあった。
映画内の登場人物の枠として
母親のマギー、祖母のドリー、祖母のパートナーのフランシス
この3人はレイの保護者的なポジションにいます。母親はシングルマザーなので、ドリーらのところに半ば居候のような形で住んでいるようです。作中で家を追い出されそうになっています。マギー自体は表面上ではレイのことを理解している雰囲気は出ていますが、心の奥底では曖昧な感じです。まぁ、トランスジェンダーというのは簡単に理解できるような問題ではないので、気持ちは分からなくはないですが、「親」としての発言があまりなかったのが気になりました。あくまで「私」として話している。親である前に1人の人間なんですけど、うーん。
また、ドリーとフランシスにしてもレイを応援する立場にいるような描かれ方をしています。応援具合で言えば、母親よりも、って感じです。ただ、僕からみたら、応援しているというよりは、「好きに生きたらいいんじゃない~♪」みたいな他人事のような、真剣味が内容に見えました。
極めつけはマギーと元旦那のクレイグ、そして元旦那の弟が絡んできて...というシーン。
母親としての立場を忘れ、元カノとして、レイの話を持ち出そうとするマギー
そして、10年ぶりに父親ぶろうとするクレイグ
この2人は気持ち悪すぎました。レイが可愛そうに思えましたね。
そういう意味で、子は親を選べない。という一言あらすじに書いてみましたとさ。
まとめ
レイは確かに16歳で決断をしていますが、周りの大人がどうも幼稚すぎました。
ホルモン療法がどういうものか詳しくは知りませんが、おそらく後悔しても元には戻れないような治療なんだと思う。そんな決断を下したレイに対して、マギーを含め大人がガチれないのは残念だった。
でも分かんないね。やっぱり良心的には女の子で生まれてきたのだから女の子として生きてほしいだろうし、でも気持ちを尊重したいし。でもでも、後戻りできない選択でもある。
そんな難しい内容を映画にするのはやはり難しいよね。
エル・ファニングは素晴らしい女優だと思う。
作中で、混乱の渦の中に放り込まれて、激しく動揺して、叫び散らすシーンがあるけど、ものすごくカッコ良かった。
「宇宙戦争」を観て以来、姉のダコタ・ファニングのことを嫌いになっている節が自分の中にあるから、これからエル・ファニングを応援していきたいなと考えております。はい。
鑑賞:2019.05.25