怒り ~贅沢な交じることのない3つのストーリーに驚いた。~
【タイトル】怒り
【監督】李相日
【出演】渡辺兼、森山未来、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡、広瀬すず
【キャッチコピー】愛した人は、殺人犯なのか?
久しぶりの邦画になります。本当に久しぶりだと思います。というか、邦画を観るたびに似たような書き出しになっていますね。とか書いておいて調べてみたら前回の邦画感想記事はそのような書き出しではなかった。
今回観た映画は「怒り」です。キャストが豪華。そして、豪華と同時に好きな役者さんが多いです。特に松山ケンイチが好きなんですよね。彼の演技にいつもいつも魅了される。
と、まぁ、挨拶文章はこの辺にして、感想に行きたいと思います。
評価
★★★★☆(★4.0):無駄なシーンがなかった。面白い!
いやー、キャストが豪華なのは先ほども書いたのですが、それだけじゃなく3つのストーリーも豪華なんです。この映画は全く関係ないところで進行する3つの話を追っていく映画になります。ただ、群像劇という訳ではないです。舞台がそれぞれ違いますから。それなのに、3つが邪魔をしあわないですし、かと言って「3つも不要じゃね?」ともならないところが凄い。
んで、どこが3つのストーリーも豪華かと言うと、どのストーリーもしっかりとしたテーマがそれぞれあって描かれています。三者三様の生活があり、その中でミステリーを醸し出しつつ、人間の愛や醜さや、そういった類の物を映し出していきます。
そして、特筆すべきは無駄なシーンと無駄なキャラが少ない映画です。そのおかげで多少長めの尺ですが、飽きさせずに観ることができます。
もう少しあらすじ
八王子で夫婦が殺される事件が起こり、現場には血で描かれた「怒」の文字が残されていた。事件から1年が経過し、犯人は整形し逃げ続けていると報じられる。
千葉県、東京都、沖縄県の3か所で決して交わることのない物語が進行し、それぞれの元に疑わしい男が現れる。
なんというか、あらすじを書くのが難しい映画ですね。あんまり書くと面白くないし、ってことで手抜き気味なあらすじにしました。気になる方はぜひ観てほしいです。
で、これだけじゃあんまりなんで、あらすじを映画に沿う感じではなく掘り下げたいと思います。
この映画は3つの軸が一緒に進んでいきます。
・千葉県:洋平(渡辺兼)と愛子(宮崎あおい)の家族の元に現れた田代(松山ケンイチ)
・沖縄県:泉(広瀬すず)と辰也(佐久本宝)の元に現れた田中(森山未来)
の3つです。
それぞれのところで起こる事件というか人間模様というか、ミステリーの醸し出し方が上手だなぁと思いましたね。原作は小説なので、文字だけの方が犯人をうまく隠しやすかったり、映像がない分読者の想像を引き立てることができます。でも、映画にしてしまうと、その表現に難しさが出てくる。それを良い具合に演出していて、良かったです。
演者としての存在感
まず、1番言いたいのは松山ケンイチです。キャラクターの設定上あまり作中で台詞がありません。それなのに、とんでもなく存在感があります。贔屓目なのかもしれませんが、彼の目、顔、立ち姿などすべてが素晴らしい。
そして、広瀬すずも良かった。個人的にはあまり好きな系統の女優さんではなかったのですが、難しい役どころを演じてて、すごい。と唸ってしまった。
他にも、渡辺兼や宮崎あおいの安定感や、妻夫木聡にビジネススタイルを着せただけで絵になる感など、日本の所謂、演技派と言われる俳優陣を集めただけあるなという完成度でした。別に、今作に出ている俳優陣が最高峰と言ってる訳ではないですが、そのぐらい素晴らしい配役でした。
そして、そして、脇役もヤバい。
ピエール瀧、三浦貴大、池脇千鶴など、みんなが主役級ですよ。まじで。
まとめ
素晴らしく完成度の高い映画だと思います。
演出面、シナリオ、キャスティングなど、全てが高水準で仕上げられており、満足しました。原作を読みたくなるぐらい、いい出来。
鑑賞:2017/09/24